私のずばり特筆すべき性格は「頑固」です。
小さな頃からそうでした。
自分のことは自分で決める。相談することはほとんどありませんでした。
一方で「おおらか」ということもあるのですが、会社勤務時代にうつ病になりました。
当時は、自身が医療職でもあるにもかかわらず恥ずかしかったことを覚えています。
うつ病を発症し、復職支援施設(リワーク)にも通い、入院も勧められ、カウンセリングも受けました。
今から振り返ると勉強になったこともたくさんありましたが、今は一般的であるこのアプローチが正しいのかと疑問に思っています。
結局、会社を退職し、起業する道を選びました。
その実体験を書きたいと思います。
何事もそうですが、「百聞は一見にしかず」。
当事者になって初めていろいろなことが見えてきます。
1.うつ病発症
うつ病発症のきっかけは「仕事のストレス」です。家庭的な背景も一因にはありましたが、やはり仕事が大きかったです。人間関係、パワハラ(と私は受け取っていた)などです。
その前から、仕事のことが気になって「寝つきが悪い」ということはありました。
それをなんとか睡眠導入剤で持ちこたえた時期もありました。
「受診しよう」と思ったきっかけは、「過呼吸」が起こったことです。
呼吸がうまくできない、心臓がどきどきする
身体症状が表れた時に「これはまずい」と受診を決心しました。
これは一般的に言えることなのですが、とくに男性は、かなり症状が進行してから。切羽詰まった状態になってから受診するケースが多いです。
症状が軽ければ軽い状態の時ほど、早く回復する可能性があります。
また精神科や心療内科の新規患者さんの予約を取るには時間を要します。
早くて受診まで2週間。長いところだと1か月後というクリニックもあります。
こんなに待たされたら、自殺してしまう人はしてしまいます。
精神系の病院の受診はとても抵抗があることですが、「受診までに時間がかかる」ということを念頭において早めに予約を取られることをお勧めします。
そして精神科系の薬は即効性のある薬もありますが、血中濃度が安定する、すなわち薬が効いてくるまで2週間ほどかかるものもあります。
この意味でも早めの受診が大切です。
精神科の薬は、始めは弱めの薬から状況を見ながら薬を変えていきます。薬がその人に「合う、合わない」に個人差があることも大きな特徴です。
初期は薬がいろいろ変わることが大半です。主治医の指示通り継続して受診・服薬が大事です。
さらに補足すると「受診が必要ではないか」と思われるのは、職場のメンバーが一番先に気づくことが多いです。家族より職場が多いです。職場では仕事をしていること、長い時間職場にいることから、家族が発見するより、職場で気づくことが多いです。
私の場合は、過呼吸という身体症状が表れたことで受診しました。
数年、職場には通院していることは知られませんでした。
自身がカミングアウトして初めて知られることになりました。
このように初期の段階であれば、薬でコントロールでき、仕事のパフォーマンスもそう落ちない状態にもできます。自身もそうして過ごすことができました。
私の場合は、薬をのむことが日常生活に加わっただけで、ふだんの生活はほとんど変わりなく過ごせました。
2.復職支援施設(リワーク)への通所
その数年を経た後、自分をとりまく環境が変わりました。
会社では昇級し、要求される仕事のレベルが高くなったこと(職場では「こうあるべき」の教育をして頂きました)、家庭では「介護」の問題が一気に噴出したことから、どうにも疲弊した状態になってしまいました。
この時は、もう自分でも無理と思っていたので、休職しました。
これもまたメンタル系の独特なところなのですが、精神科疾患は、医師がある程度の判断はできますが、「主観」による部分が大きいです。身体疾患にあるような血液検査で測れるようなスケールが無いことです。したがって精神科医は患者の主観に合わせて診断書を書くことが多いです。
私も先生にお願いして診断書を書いてもらいました。
休職の期間は長いです。一般的には「早くて3か月」といわれています。
最低その期間は無いとこれまでの疲弊は回復できません。エネルギー充填の期間です。
休職初期は「安心して休む」という心もちがなかなかできません。
「焦り」だったり「不安」だったり混沌とした感情があります。
私もそのような感情が落ち着くまでに1か月はかかったと思います。
仕事が休みになっても「心が休まらない」状態が続きます。
人によっては、いろいろな思いがあり、落ち着くまでにもっと期間を要する場合があります。
残念ながら自殺に至ったケースを見ると、3か月後に復職したなど短い休職で復職していたことが多いです。正直、そのぐらいの短期間では、復職するまでになる状態になることは無理だと私は考えています。
昔は、自宅休養して復職という流れがとられていましたが、ここ数年で「リワーク」施設が爆発的に増えました。休養と復職の間にリワーク通所を入れることで再発率が減った研究もあり、取り入れられていきました。
「リワーク」施設というのは、「ピンキリ」です。緩い施設からしっかりした施設まであります。
確実な復職をめざすためには、しっかりした施設に通所したほうがよいです。
そのほうが、復職した時とのギャップが少なくなり、再発率が少なくなる、再休職までの期間が長くなります(一般的に)。
私は、そのしっかりした機関に通所させられました。
被害的に書いてしまいますが、今の思いはそういう思いです。
会社のルールとして、リワーク施設に通所しないと復職手続きができないようになっていました。
ここでまた気分が落ち込みました。「自分がリワークへ行くなんて」と。
ただその過程を経ないと復職できないということだったので、「仕方なく」通ったという思いが正直なところです。
また医療職として経験者になることも、これから役に立つということも思いました。
通所した結果、「気づき」も多くありました。感情的になる部分を落ち着かせるスキルも学びました。復職後のイメージも学びました。
これらの経験がムダだとは思っていません。
一方でこのアプローチが常套手段ではありますが、自身では違うアプローチにしたほうがよいのではとも思っています(後述します)。
こうして紆余曲折を経て、晴れて復職できました。
ただきれいに言えば「職場の配慮」となるのですが、あまりにも仕事の負荷が少なくもてあましていた時間でした。復職後はこういった「気遣い」にとても敏感になり、それが却って疲れてしまうという経験がありました。
3.カウンセリングなど
復職後のフォローとしてカウンセリングに通うことを勧められました。
これも感想としては、「うーん」といった感じでした。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、まずカウンセリングは金銭的な負担が大きいです。
東京では、60分8000円~10000円が相場です。カウンセリングには保険診療が適用されません。
カウンセラーの方のほとんどは「臨床心理士」です。こういったメンタル系のアプローチは非常に高額です。金銭的に余裕が無ければ、通うこともあきらめざるをえないのが現状です。
カウンセリングには3か月ほど通ったでしょうか。2週間に1回のペースです。
会社からは能力の高いカウンセラーの方を紹介されましたが、私には「これで改善した」という実感はありませんでした。
金銭的なデメリットのほうが大きかったです。
これだけカウンセリングが普及していること、またカウンセラーはトレーニングされた専門家であることから、人によっては効果があるのだと思います。
しかし必ずしも効果があるとは限らないということを自分は学びました。
その後も、会社は「私のことを思って」のことですが、いろいろなことを指示されました。
1つは、1泊2日の睡眠検査。不眠の原因に、睡眠時無呼吸や筋肉のけいれんなどの要因が無いかを詳しく調べる検査です。会社帰りに行けて翌日は出社できるというパターンで不都合は無かったのですが、これも金銭的なデメリットが大きかったです。結果はとくに異常なし。異常なしを確認できたことは良かったのですが、やはり金銭面が浮き彫りになりました。
2つめは、入院して病院から出社をすること。これは規則的な生活を送れることを目的にして行う治療です。これはさすがに拒否しました。会社帰りに拘束された生活を送ること、金銭面など。自分の中では即、却下でした。
ここまでいろいろ指示されると「自分はなんなんだろうか?」と、とても考えさせられました。
以前からも思っていましたが、「このまま会社で働き続けること」をいやというほど考えさせられました。
4.自分が出した答え
この頃、また私にシビアな介護の生活を余儀なくされました。
私は、この直近5年で両親と祖母の3人を亡くしています。
この5年間は在宅介護の状態ではありませんでしたが、ケアマネージャーさんや施設からの電話が1日に3本以上かかってきたり、施設が変わればその手続きをしたり、容態が急変すれば病院へ行くなど、仕事をしながらの介護は壮絶でした。半休や突発休も増え、上司にいやな顔をされたことも覚えています。
会社には無給で介護休暇という制度がありましたが、期間は1年。
この制度は使えなかったです。
当然のことながら、がん疾患でもない限り、介護は先が見えないです。
「どこの1年を取るの?」ということがわかりませんでした。
これから介護が増えていく中、会社の制度もより柔軟な対応になっていくのだと思います。
また働き方のスタイルも変わっていくのだと思います。
そんな生活が続き、私が出した答えは、「退職すること」でした。
周囲の友人などには何回止められたことか。
しかし自分は、このような働き方に耐えられなかったですし、本当に厳しい状況でした。
そして退職しました。
現在は、これまでの経験を生かし、「起業」の道を選びました。
5.これからのメンタル疾患へのアプローチ(私見)
今、思っていることは、メンタル疾患へのアプローチをもっとガラッと変えられないか?!ということです。
メンタル疾患に限りませんが、病気はつらくて暗いイメージがあります。実際、壮絶な経験をしている人も多くいます。
不謹慎に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「もっと明るくできないかな」と思っています。将来の希望がもてるような。
もっと言うと、うつ病にならない環境づくりが急務だと思います。
世の中は、「ハラスメント」であふれています。
土壌として、「心に余裕が無い」ということがあります。
八つ当たりでいじめる人もいます。
そのような人たちが健全な心のもちようになるにはどうしたらいいのか?
今より明るく、うつ病の人も受け入れられる職場にするにはどうしたらいいのか?
そんなことを考えています。
それを自身の仕事に結びつけていきたいです。
とても長くなりましたが、自身の振り返りも含めて書きました。
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